診療体制
高齢やご病気で入院・通院が満足にできない、入院するよりも、自宅で暮らしながら療養したい、そのような方々のご自宅へ伺い、医療行為を行ったり、症状に合わせた的確なアドバイスを行うことが在宅医療です。
訪問診療計画を立て、医師が2週間に1回定期的に伺い診療、治療、薬の処方、治療上のご相談、ご指導などをさせていただきます。
また、急変時などは24時間365日緊急電話にて対応をし、必要に応じ電話対応や緊急往診対応を行います。
対応可能な疾患と処置
- 慢性疾患の管理
- 認知症・精神疾患治療
- 各種検査
- 緩和医療
- 床ずれ処置
- 看取りケア
- 点滴治療
- 在宅酸素療法
- 難病の方
- 末期癌
- 熱中症の予防
- 日常の健康チェック
- 栄養管理
- 各種カテーテル交換・管理
上記以外も在宅においては
あらゆることに対応可能です。
詳しくはお問い合わせください。
費用について
料金例:比較的安定された方の所に
月2回訪問した場合(医療費)
対象 | 負担割合 | 基本負担額 | 負担額の上限 |
高齢者 | 1割 | 5,666円 | 18,000円 |
---|---|---|---|
3割 | 16,998円 | 16,998円 | |
一般 | 3割 | 16,998円 |
その他に、介護保険の負担として一月588円(介護保険1割負担の方)が必要となります。
– 加算等について –
医療行為によって各々費用が加算されます。
【一例】
- 採血などの検査、臨時往診、点滴や注射などの処置
- 重症者加算・・・酸素、IVH、経管栄養、人工呼吸器、気管切開、
留置カテーテルなどで医療機器を使用時(別に管理料もかかります。) - ご自宅でお看取りをさせていただく場合、ターミナル加算+看取り加算がかかります。
- 初回訪問時には、初診料がかかります。
- 公費負担医療証等をお持ちの方や、新しい保険証が届いた方、また、
自己負担割合や介護度の変更があった場合には必ずお知らせください。 - 計画的な訪問診療に関する交通費は頂戴しておりません。
- お薬については、処方箋をお出しします。ご家族の方に近隣の薬局に行っていただくか、
必要な場合は訪問をしてくれる薬をご紹介します。 - 介護保険において居宅療養管理指導料を算定させていただきます。
- 料金については、月に一度ご請求します。お支払いについては、現金支払い、
口座振り込み、それ以外に口座引落もご選択可能です。 - ご不明な点は、お気軽にご質問ください
診療体制


大田区
池上 北嶺町 西嶺町 南馬込 石川町
久が原 東馬込 南雪谷 鵜の木 中央
東嶺町 雪谷大塚町 上池台 仲池上 東雪谷
千鳥 北千束 中馬込 南久が原 大森西
北馬込 西馬込 南千束 山王
目黒区
原町 南 目黒本町 碑文谷 柿の木坂
ご相談から診療までの流れ
患者さまをご自宅で診療するまでの流れを
ご説明いたします。
STEP【お問合せ】

STEP【各種調整】
ケアマネージャーさんを中心に訪問看護や訪問介護などの連携先との調整を行い、訪問診療に伺える日程を調整します。

STEP【初回訪問】
医師がご自宅へお伺いし、患者さまやご家族への訪問診療の説明、医療保険、介護保険の説明をいたします。その際に、訪問診療や介護保険利用の同意書を書いて頂きます。

STEP【訪問診療の開始】
定期的な訪問診療を開始します。
まずはお電話ください。ご質問だけでも構いません。
患者さまにとって最良の道とは何か一緒に考えさせてください。

よくある質問
認知症の症状って?予防できるの?
日本では、認知症患者が増加しています。現在でも、「物忘れ外来」などは数か月待ちになるくらい混雑しています。
団塊の世代が75歳以上になる2025年には、現在よりも爆発的に認知症患者が増加すると推測されています。その一方で、現在認知症を治す薬は存在していません。各製薬会社が現在様々な抗認知症薬を開発していますが、苦戦しているようです。
そのような状況で我々にできることは、薬物療法、非薬物療法を駆使して、認知症の進行を少しでも遅らせること、認知症になっても住み慣れた街で過ごすことができるような環境を整えること、この2点が大切となります。
現在、抗認知症薬としてはアリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、メマリーの4種類の薬がありますが、どの薬も認知症の進行を遅らせることはできません。認知症の症状の進行を1年ほど遅らせることができるとされています。そのため、副作用を考えると、あまり積極的に使用するのも考え物です。フランスでは、これらの抗認知症薬に効果はないとして、医療保険の適応を外されました。
認知症の非薬物療法としてもっともエビデンスが高い(効果がある確率が高い)ものは、通所介護(デイサービス)とされています。もちろん、デイサービスも様々ですので、どこのデイサービスでもよい、というわけではありません。時間がのんびり流れていて、利用者さんが楽しそうにおしゃべりをしている(うるさいくらいに)、そういったデイサービスがおすすめです。そのほか、アロマテラピー(嗅覚の刺激)、音楽療法(聴覚の刺激)、回想療法(過去の楽しかった記憶の刺激)、生活リハビリ(体を動かす、自分にも役割があることを感じるなど)などもあります。もう一つ大事なことは「笑い」です。現在、笑いががんの進行の抑制や糖尿病の人の血糖値を下げることなどが研究されていますが、おそらく認知症の症状の抑制にもつながると考えられます。
認知症になっても地域で過ごすことができるようになるためには、まず地域の人たちが認知症について知ることが大切です。また、認知症患者さんの家族が、地域住民に対し「うちの母は認知症なんです」などと気軽に言えるような関係になることが大切です。地域の人たちが声をかけてくれること、そのこと自体が認知症進行の抑制につながります。
すでにきている認知症患者増加の時代に対し、当院では認知症の診療を積極的に行うことで少しでも貢献出来たらよい、と考えています。
癌になってしまっても最期まで自宅で過ごすことはできるの?
緩和ケアといえば末期がんを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん、末期がんの方への緩和ケアは非常に大切です。しかし、非末期がんの方への緩和ケアや、癌の治療を行っている方への緩和ケアも大切です。緩和ケアは、がんの末期の方にのみ行うのではなく、必要な時に、必要な方へ行うものなのです。
末期がんの方には、4つの苦しみがあるといわれています(非末期がんのターミナルの方も同じ苦しみがあると思います)。4つの痛みとは図にあるように、「身体的苦痛」「社会的苦痛」「精神的苦痛」「霊的な苦痛(スピリチュアルペイン)」になります。
身体的苦痛は、想像しやすいと思います。身体的苦痛に対しては、主にNSAIDs、弱オピオイド、強オピオイド(いわゆる麻薬性剤)を中心に、様々な痛みに合わせて薬を使用します。患者さんには、痛みを我慢しないように伝えます。私自身の経験からは、不安を持って過ごしている人より、安心して過ごしている人のほうが、身体的苦痛は少ないように感じます。つまり、「安心」がキーワードになります。
社会的な苦痛は、金銭面や仕事、家庭の問題などが該当します。こういった問題は、今後ソーシャルワーカーがカバーする分野になるかもしれません。しかし現在は在宅の現場にいるソーシャルワーカーは非常に少ないので、チーム全員で考えていく必要があります。
精神的な苦痛は、抗うつ剤などを使用することもありますが(鈍い痛みによく抗うつ剤を使用します)、基本的には本人が少しでも安心できる環境を作っていくことが大切となります。人によってさまざまでしょうが、例えば「好きな音楽を聞いているときは落ち着く」「人と会話しているときは不安を忘れる」「好きな食べ物を食べているときはよい気分になる」など、本人にとって安心できる環境を探します。
霊的な痛み(スピリチュアルペイン)は、日本人には少々理解しづらい考え方だと思います。精神的な痛みとあえて分けているというところがポイントかなと感じています。おそらく、極めてキリスト教的な考え方なのでしょう。以前敬虔なキリスト教徒の方から、「死んだら自分はどうなるのか、何に生まれ変わるのか、悩んだことはありませんか」と質問されたことがあります。「生まれ変わったら裕福な家で可愛がられて飼われる猫になりたい」と思っていますが、それで悩んだことはありません。霊的な痛みは、「なぜ自分ががんになるのか。癌になるような悪いことをしたとでもいうのか」「なぜ自分が死ななければならないのか」「自分は何のために生きてきたのか」といったことになります。精神的な痛みよりもさらに根源的な痛みと言えます。人間に限らず生きとし生けるものは、生きること、生き残ること自体が目的です(生物学的には)。人間は前頭様が発達し、様々な価値観を持つようになったため、却って最も基本的なことを見逃してしまうこともあります。それを防ぐために、霊的な痛みを精神的な痛みと一緒にしなかったのでしょう。
この4つの痛みは、それぞれ独立しているわけではなく、複雑に絡み合っています。たとえば、経済的な不安からそれがストレスとなり、肉体的な痛みを感じるようになったり、肉体的な痛みに対しがんの進行を感じ、それが精神的な痛みにつながったりします。これらの痛みをできるだけ取り除くには、患者さん本人や家族も含め、在宅療養にかかわるチーム全員が、患者さんや家族の不安をできるだけ取り除くようにしていくことが必要です。
医療費をすこしでも安くできないの?
指定難病患者への医療費助成制度
指定難病とは、「難病法」に指定された疾患です。指定難病であり重症度分類に照らし合わせて症状の程度が一定以上の方に、医療費を助成する制度があります。
Hoehn-Yahr重症度分類
- 0度 パーキンソニズムなし
- 1度 一側性パーキンソニズム
- 2度 両側性パーキンソニズム
- 3度 軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要
- 4度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
- 5度 介助なしにはベッド又は車椅子生活
生活機能障害度
- 1度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない。
- 2度 日常生活、通院に部分的介助を要する。
- 3度 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能。
例えば、パーキンソン病の場合、Hoehn-Yahr分類3度以上かつ、生活機能障害度2度以上が対象となります。
指定難病は現在331疾患あります。詳しくは厚生労働省のホームページを参考にしてください。
厚生労働省指定難病
また、東京都では独自に8疾患を指定難病として医療費助成を行っています。その8疾患は「原発性骨髄線維症」「悪性高血圧」「母斑症」「肝内結石症」「古典的特発性好酸球増多症候群」「びまん性汎細気管支炎」「遺伝性QT延長症候群」「網膜脈絡膜萎縮症」となります。
指定難病の申請から医療費受給者証交付の流れは上図のようになります。
診断書は、難病指定医が作成します。当院には難病指定医がいますので、いつでもご相談ください。
申請に必要な書類は下図の通りとなります。
なお、東京23区内で申請する場合は、こちらのpdfをご参照ください。申請窓口が載っています。
指定難病の医療費の自己負担の上限
指定難病患者さんの1か月の医療費の自己負担の上限は上図のようになります。この中には、外来や訪問診療における医療費、薬剤費、医療保険による訪問看護費、訪問診療や訪問薬剤の居宅療養管理指導費が含まれます。
複数の医療機関などにかかっても、1医療機関ごとではなく総額で上限が決まります。そのため、下図のようにかかった費用を計算していきます。
なお、訪問診療のようにひと月ごとにまとめて清算する場合は、最後に医療費を計算します。例えば、上限額が10,000円で、訪問診療の費用を清算する前に7,500円の自己負担が発生していたとしたら、訪問診療の費用は10,000-7,500=2,500で2,500円の負担となります。
東京都にお住まいの方は、東京都福祉保健局のホームページを参照してください。
※ここまでの図は難病情報センターのホームページより抜粋
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
具体的には、精神通院医療、更生医療、育成医療の3つが対象となります。
精神医療の対象は以下の通りとなります。
(1)病状性を含む器質性精神障害(F0)
(2)精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
(3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
(4)気分障害(F3)
(5)てんかん(G40)
(6)神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
(7)生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F5)
(8)成人の人格及び行動の障害(F6)
(9)精神遅滞(F7)
(10)心理的発達の障害(F8)
(11)小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F9)
※(1)~(5)は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患
高齢者医療においては、認知症やてんかんなどが対象となることが多いようです。
更生医療の対象は以下の通り
(1)視覚障害・・・白内障 → 水晶体摘出手術、網膜剥離 → 網膜剥離手術 瞳孔閉鎖 → 虹彩切除術、角膜混濁 → 角膜移植術
(2)聴覚障害・・・鼓膜穿孔 → 穿孔閉鎖術、外耳性難聴 → 形成術
(3)言語障害・・・外傷性又は手術後に生じる発音構語障害 → 形成術 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正
(4)肢体不自由・・・関節拘縮、関節硬直 → 形成術、人工関節置換術等
(5)内部障害
●<心臓>・・・先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術
●<腎臓>・・・ 腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
●<肝臓>・・・ 肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
●<小腸>・・・ 小腸機能障害 → 中心静脈栄養法
●<免疫>・・・ HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療
育成医療の対象は以下の通り
(1)視覚障害・・・白内障、先天性緑内障
(2)聴覚障害・・・先天性耳奇形 → 形成術
(3)言語障害・・・口蓋裂等 → 形成術
唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって、
鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者
→ 歯科矯正
(4)肢体不自由・・・先天性股関節脱臼、脊椎側彎症、くる病(骨軟化症)等に対する関節形成術、関節置換術、及び義肢装着のための切断端形成術など
(5)内部障害
<心臓>・・・先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術
<腎臓>・・・腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
<肝臓>・・・肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
<小腸>・・・小腸機能障害 → 中心静脈栄養法
<免疫>・・・HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療
<その他の先天性内臓障害>
先天性食道閉鎖症、先天性腸閉鎖症、鎖肛、巨大結腸症、尿道下裂、停留精巣(睾丸)等 → 尿道形成、人工肛門の造設などの外科手術
東京都にお住まいの方は、東京都福祉保健局のホームページに自立支援医療費制度とお問い合せ先のパンフレットがありますので、ご参照ください。
申請する際には、まず区市町村の窓口にて自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書をもらってきます。また、診断書、マイナンバー(個人番号カードの提示)、世帯(保険単位)を確認する書類(医療保険の被保険者証等の写し)、世帯所得を確認できる書類(非課税証明書、標準負担額減額認定書など、区市町村民税の課税証明書)を準備したら、区市町村の窓口に提出します(提出窓口はパンフレット参照)。提出に必要な書類は、ほぼ指定難病と同じです。また、提出する窓口もほとんど指定難病と同じです。
診断書については、自立支援医療診断書(精神通院)を準備する必要があります。指定自立支援医療機関で医療を行う主治医が診断書を記載する必要があります。当院は指定自立支援医療機関ですので、まずご相談ください。
自立支援医療の自己負担の上限
自立支援医療の自己負担の上限は上図の通りとなります。なお、自立支援医療の対象疾患の治療のみに対する公費負担制度となりますので、例えば認知症と高血圧で診療を受けている場合、高血圧の薬については対象外となります。
認知症の親の介護のポイントは?
ユマニチュードについて
ユマニチュードとは、フランスで開発された介護の技法のことです。その根本的な考え方は、介護する人から介護される人へ、「あなたを大切に思っています」というメッセージを伝える介護を行うということです。ユマニチュードの4つの柱に「見る」「話す」「触る」「立つ」があります。
見る
「見る」で大切なことは、相手と目線の高さを合わせること、0.5秒以上目を合わせることです。これにより、「あなたと私の立場は平等です」というメッセージを伝えます。また、距離も重要で20㎝くらいが良いとされています。ただし、人によって心地よい距離は異なります。
また、正面から見ることも大切です。後ろから見ても相手にはわかりません。
話す
ゆっくりと、優しい声で、相手に聞こえやすいように話します。否定などのネガティブな言葉ではなく、肯定などのポジティブな言葉で話しましょう。「熱がまだありますね」よりも「熱はだいぶ下がりましたね」と言った方が、安心につながります。
なお、途切れなく話すことも大切です。話すことがなくなったら、動作の実況を行います。「今から背中を拭きますね」「今から右腕をあげますね」などと声掛けをしながら介護を行います。これをオートフィードバックと言います。
私も、もう話すことができない認知症の寝たきりの方に、ひたすら話しかけながら診察していました。「今から胸の音を聞きますね」「胸の音は問題ありませんよ」「体調はいいですね」と。一年くらいたったころ、その方は明らかに目の動きで感情を示すようになりました。もう認知症の末期だと考えていたので、それでも改善する部分があることにびっくりした記憶があります。ご家族も「最近目で言ってくるんですよ」と仰っていました。
触れる
優しく触れること、広い面積で触れること(指先ではなく手のひら全体で)が重要です。さらに、背中、足、腕などから触り、顔などは一番最後にします。感覚が鈍い部分から触り、徐々に移動し最後に鋭敏な場所を触りましょう。いきなり顔を触ると「厚かましい」と思われます。
触ることにより、愛情を示します。また、オキシトシンの分泌にもつながります。
さて、相手との信頼関係を築くことができると、「ハグ」を行うこともあります。これは非常に効果があります。できれば同姓どうしで行うことが望ましいとされています。
立つ
寝たきりの方でも、1日合計で20分は立つようにします(連続20分立つ必要はありません)。歯を磨くとき、顔を洗うときなどに立って行いましょう。立つことにより、自分の存在を強く意識できます。また、関節や軟骨への血流改善、心肺機能の維持、骨粗しょう症の改善、筋力保持、拘縮予防、褥瘡予防などにもつながります。すなわち、フレイルの予防につながります。
まとめ
ユマニチュードは、自然に行っていたという人も多いかと思います、ある意味では、「当たり前」のことをまとめたようなものです。様々な介護技法を駆使し、「不安」を取り除き「安心」を提供する技法と言っても構わないと思います。いわゆる認知症の行動・心理症状(BPSD)の大半は「不安」からきているといっても過言ではありません。
寝たきりリスクが高くなるフレイル対策はある?
フレイルとは
ここ最近、サルコペニアとともに急に注目され始めました。フレイルとは、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」のことです。簡単に言えば、「加齢、低栄養、さまざま疾患に伴い、心身ともに脆弱した状態」のことです。なお、次に記載するサルコペニアもフレイルの原因となります。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、「加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指します。または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体機能の低下が起こること」を言います。
上記の図はサルコペニアの診断フローチャートです。これを見ると、サルコペニアとはまず筋力の低下があることがわかります。筋力低下により、運動機能が低下し、その結果歩行スピードが遅くなります。なお、上記フレイルの図を見るとわかりますが、フレイルの一部にサルコペニアがあるとも言えます。個人的にはフレイルにまとめてしまったほうがわかりやすいと思います。
さて、サルコペニアの治療に大切なことは、まず筋肉のもととなるたんぱく質をしっかりとること、そしてリハビリテーションなどの運動療法となります。
褥瘡
褥瘡については、在宅療養に関わる人は一度は経験したことがあると思います。
上記の図を見るとわかる通り、褥瘡は圧迫されやすい部分にできやすいのです。褥瘡の治療ですが、軟膏を使用したりガーゼを使用したり、壊死組織を切除したりといろいろありますが、一番大切なことはやはり栄養、特にたんぱく質をしっかりとることと、除圧です。極端に言えば、最高の褥瘡処置を行っても、栄養が取れなければ治りません。逆に、大した処置をしなくても栄養をしっかり取り、除圧をしっかり行うと褥瘡は治ります。そのくらい、栄養は大切です。
まとめ
フレイル、サルコペニア、褥瘡、これらは在宅療養を行う患者さんによくみられます。そして、これらの治療で一番大事なことは栄養、特にたんぱく質をとることです。栄養を取ることができなければ、医療的な治療やリハビリなどをいくら行っても改善しません。また、高齢者は腸管からのたんぱく質の吸収の効率が下がります。私が以前見ていた患者さんで、100歳ながら毎日とんかつを食べる方がいらっしゃいましたが、それでもタンパク質やアルブミンは低めでした。
そこで、患者さん一人一人に合わせた栄養を組み立てる「訪問栄養指導」が今後の在宅療養のカギとなると思います。もうすぐそこに、訪問栄養士の時代が来ています。高齢者はごはん(米)などの糖質が好きな方が多いのですが、糖質はほどほどにして、タンパク質をしっかりととる必要があります。在宅療養をおだやかに過ごしていくためには、お肉や魚などのたんぱく質をしっかりと食べましょう!
ただし、いくら栄養に配慮した食事であっても、思わず食べたくなるような美味しい食事でないと意味がありません。薬と同じですが、食べたり飲んだりしてくれないと意味がないのです。そのあたりをしっかり工夫し、利用者さんが食事をしっかりとり健康状態を保っているデイサービスが大田区にあります。