おだやか日記

認知症の診療~実例その14~

おだやか診療所です。

本日は認知症の診療その14です。

症例

80代前半の男性。アルツハイマー型認知症と診断され、アリセプト10㎎、メマリー20㎎を内服していた。そのほかに高血圧、高脂血症など。

2~3か月前から怒りっぽくなる、歩きにくそうに見える、昼間からウトウトしている、幻覚が見えているようである、などの症状が出現したため当院にて診療となった。

アセスメント

診察時、両上肢振戦なし。両肘に筋強剛を認める。血圧は108/60。ここ最近のデイサービスや訪問看護などでの測定も100~110台であることがほとんどであった。転倒も以前に比べて増えてきたとのこと。

眼球運動は正常。小刻み歩行あり。椅子に座ると体が左に傾いている。易怒性があり、長谷川式やMMSEは施行困難であった。血液検査では特に大きな異常を認めなかった。

これらのことから、アルツハイマー型認知症にレビー小体型認知症が併発したと考えた。

治療

パーキンソニズムを悪化させるアリセプトを中止。易怒性もアリセプトが原因であろう。典型的な「薬害性前頭側頭型認知症」である。また、メマリーも覚醒を下げる作用があるため中止。血圧も低めのため降圧剤も中止とした。

再診時、歩行状態はやや改善、易怒性はほぼ消失、覚醒状態は改善したとのこと。昼寝の頻度は減少した。歩行状態のさらなる改善を目指しL-DOPAを少量(メネシット1.5錠毎食後)処方。

さらに次の再診時には歩行状態も安定するようになった。今後も状態をよく見ながら、薬の調整を行っていく予定である。

まとめ

アリセプトは、「パーキンソン病診療ガイドラインに、薬剤性パーキンソニズムを誘発する薬として掲載されています。アリセプト内服中の患者さんにパーキンソニズムが生じたときは、いったん中止にすることが望ましいでしょう。

また、アルツハイマー型認知症と診断された人が、数年後にレビー小体型認知症を併発することは少なくありません。この時に、アリセプトを中止しないと症状はどんどん悪化してしまいます。

さらに、メマリーは鎮静効果を示すことがあり、レビー小体型認知症の患者さんに投与すると傾眠がちになる、歩行機能が落ちるなどの副作用が出ます。メマリーには鎮静効果があるといわれますが、逆に覚醒効果を示すこともあり、使いにくい薬です。また、BPSDを軽減させるというエビデンスはありません。

高齢者の診療では、基本的には「減薬」を考える方が良いでしょう。薬を追加するよりも、減らした方が状態が改善する高齢者は案外多いです。

最近、ポリファーマシー(多剤併用)について盛んに議論がされています。これは高齢者の内服薬がおおむね6種類以上になると、転倒のリスクが上がるということから、飲まなくてよい薬は減らしましょうということです。そのほかに、意識障害、低血糖、肝機能障害、電解質異常の原因にもなります。

高齢者にとって、良質なたんぱく質と水分に勝る薬はありません。

 

 

 

 

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