おだやか日記

認知症の診療~実例その13~「薬剤性前頭側頭型認知症!?」

おだやか診療所です。

本日は認知症の診療その13です。

症例

80代後半の女性。デイサービスなどで易怒性を指摘された。すぐに怒る、大きな声を出して怒鳴るといったことが頻繁にあり、他の利用者さんが徐々に距離をとるようになり、孤立がちになっていたとのこと。処方薬にアリセプト10㎎。

アセスメント

ここまで当ブログを読んでいただいた方ならすぐにわかると思います。アリセプトによる易怒性の誘発です。アリセプトはどうやら前頭葉の機能を落とす作用があるようです。そのため、アリセプトを過剰量内服している場合、前頭側頭型認知症のような症状が出現します。

ある意味、「薬剤性前頭側頭型認知症」ともいえる症状です。

特に小柄な女性、しかも80代後半となれば、アリセプト10㎎は多すぎです。心停止を起こしかねない状況です。このかたも徐脈気味(脈拍50代)になっていました。

治療

治療というより、薬を抜くだけです。アリセプト10㎎を即刻中止。早ければ2~3日、遅くとも2週間くらいで効果がでます。今ではこの方はデイサービスでも怒ることはほとんどなくなり、他の利用者さんとも楽しく過ごしています。また、脈拍も60~70代になり、心停止のリスクもかなり減りました。

まとめ

アルツハイマー型認知症の発症初期~中期あたりまでは、アリセプトが効果を示すこともあります(だたし、5㎎では40人に一人効果がある程度です。10㎎で初めて効果が出る人はまずいません)。ただし、認知症の進行に伴い、脳内の神経伝達物質のバランスも変わってくるため、アリセプト(というより抗認知症薬)の止め時をしっかりと見極める必要があります。

さて、アリセプトの止め時は以下のようになります。

  • 食欲が低下したとき
  • 寝たきり状態になったとき
  • 嚥下機能が低下したとき
  • 易怒性など、前頭側頭型認知症のような症状が出た時
  • 歩行困難や転倒の回数が増えてきたとき(パーキンソニズムが出現したとき)
  • 幻覚が見えてきたとき(レビー小体型認知症の併発)

患者さんの害になる前に、いつでもやめる準備ができている場合のみ、抗認知症薬を使用してもよいと考えます。

 

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