おだやか日記

発達障害と認知症~切っても切れない関係~

おだやか診療所です。

本日は、発達障害と認知症について書いてみたいと思います。

発達障害とは

発達障害とは、身体や学習、言語、行動において一連の症状を持つ状態で、症状は発達中に発見され、通常は生涯にわたって持続する障害のことを指します。発達障害にはADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の3つがあるといわれています(そのほかに二次性の発達障害もある)。

発達障害は、小児のおよそ6.5%に見られるといわれています。また、その中でもADHDが多く小児の3~5%に見られます。通常、成長するにつれて症状は緩和されていきますが、成人でも約2%にADHDが見られます(ただし、小児と成人のADHDは異なる2つの症候群ではないか、とも言われています)。

また、ADHDとASDの合併、ADHDとLDの合併も多く見られます。

発達障害の誤解の中で多いのが、「育て方を間違ったから発達障害になったんだ」という考えですが、発達障害と育て方は無関係と言われています。また、ADHDとASDは遺伝的要素が強いと言われています。

ADHD


この画像はADHDの症状の特徴を表にしたものです。そのうち、赤字で書いてあることは、認知症と診断されやすい症状です(アルツハイマー型認知症の初期症状に似ている)。認知症の可能性を考える年齢に方が、ADHDをもっており、認知症疑いで受診した際に、赤字の症状を基に「アルツハイマー型認知症」や「MCI」と診断されやすいです。そのため、認知症の診療を行う際は、「大人の発達障害」についても考えていく必要が出てきました。高知大学の報告では、50代で物忘れを主訴に受診した人の12%にADHDを認めたとのことです。

また、ADHDはレビー小体型認知症を発症しやすいといわれています。レビー小体型認知症で怒りっぽい人は、DLB+ADHDの可能性があるわけです。その場合、向精神薬や抗認知症薬よりも、ストラテラやコンサータの方が効果を発揮します。精神科医でなくても、ストラテラは処方できますので、しっかりと見極める必要があります。

ASD


この画像はASDの症状の特徴を表にしたものです。そのうち、赤字で書いてあることは、認知症と診断されやすい症状です(前頭側頭型認知症の症状とやや似ている)。また、ASDは前頭側頭型認知症になりやすいという話もあるため、十分注意して診療を行う必要があります。ASDがある場合、ADHDの合併の可能性もありますので、やはりストラテラが有効となる症例が前頭側頭型認知症にも隠れている可能性があるからです。

また、ASDは薬に過敏なところがあり、向精神薬は少なめに、不眠に対して使用するロゼレムも0.8~4㎎(通常8㎎使用)と少量を使用することで副作用を抑え、治療の効果が上がるようです。認知症のBPSDに対する治療の考え方と似ています。

まとめ

大人の発達障害と認知症は、よく似ています。また、ADHDはレビー小体型認知症になりやすかったり、ASDは前頭側頭型認知症になりやすいなど、つながりもあります。

大人の発達障害と認知症の共通点として、

  1. 発達障害も認知症も混合型が多い(ADHD+ASD、アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症など)
  2. ADHDは小児と大人で異なる2つの症候群ではないかと言われている。認知症も、65歳未満の若年性認知症と65歳以上の認知症では異なる疾患と考えてよい。
  3. 薬物治療を行うときに、両者とも一人一人に合った少量の薬で治療を行う。常用量を出すと副作用が目立ってくる。

の3つを挙げることができます。

さて、発達障害、特にADHDとASDは遺伝的要素が強く、また、特定の認知症を発症しやすいということから、感が良い人は気付いたかもしれません。認知症の肩を介護する子供に発達障害の方が案外います。認知症の治療は薬物療法だけでは成り立たず、介護対応も必須です。不適切な介護を行うと認知症のBPSDは悪化しますので、介護する子供がもし発達障害を持っている場合、その治療も行った方が、うまくいくことが多いのです。

本日は切っても切れない大人の発達障害と認知症について書いてみました。大人の発達障害は診察まで6か月~2年待ちとも聞きます。我々も、しっかり勉強し、診察できるようになる必要があります。

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