おだやか日記

認知症の診療~実例その7~

おだやか診療所です。

本日は若年性アルツハイマーの症例です。

症例

60代前半の男性。50代半ばに物忘れを自覚し、若年性アルツハイマーと診断。アリセプト10㎎を内服していた。しばらくは自宅で過ごしていたが、徐々に身の回りのことができなくなり、老人ホーム入所となった。

入所直後より、施設内を歩き回る、新聞紙などを部屋に大量に集める、威勢の職員に後ろから抱きつくといった行動が見られたため訪問診療の以来となった。既往歴は糖尿病、高血圧、高コレステロール血症など。ADLは歩行可能。

アセスメント

典型的な、海馬温存型の若年性アルツハイマーである。このタイプの特徴は、発症直後は短期記憶力の低下が目立ち、コリンエステラーゼ阻害薬が有効である。しかし、進行が早く、数年で前頭側頭型認知症のような症状が出現する。

この方もまさに、前頭側頭型認知症のような症状が出現したタイミングであった。そのためアリセプト中止。そのほか採血検査の結果から糖尿病治療薬、コレステロール治療薬も中止。前頭側頭型認知症とみなして治療を行うこととした。

治療

アリセプト中止、ウインタミンを朝4㎎昼4㎎夕6㎎、○○○(サプリメント)をお勧めした。家族の了解もありサプリメントも導入。これによりBPSDはほぼ消失した。また、自分の部屋の掃除などを(少しだが)行うようになった。いわゆるセクハラ行為が大きな問題であったため、これをなくすことがホームでの生活を続けるカギとなった。

まとめ

病理学的にはほぼ間違いなく若年性アルツハイマーであるが、症状が前頭側頭型認知症に特徴的なものである場合、前頭側頭型認知症とみなして治療を行うべきである。アリセプトの継続、増量が最悪の判断であろう。中止が正解である。自分らしく生活することができる、介護対応が可能になる、これが認知症の薬物療法の目的である。

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