おだやか日記

認知症の診療~実例その4~

おだやか診療所です。

今までアリセプトなどの抗認知症薬を抜くとよくなる症例ばかり書いていましたので、今回はアリセプトの名誉挽回の症例について書きたいと思います。

症例

80歳の男性。グループホーム入居中。リビングで他の利用者が楽しく話をしていても、この方は一人で離れた場所に座っていることが多かった。アルツハイマー型認知症と診断されている。

施設職員に聞いたところ、「もともとおおきな商店の生まれで、家には使用人がたくさんいる環境だった。そのためか、プライドが高く周囲になじまない」ということでした。そのためか協調性があまりないと。なるほど、納得です。これは本人の生活史を知っているからこそのアセスメントですね。

診断

アルツハイマー型認知症で間違いない症例。以前、他院でアリセプト3㎎処方された際、易怒性(スイッチ易怒)が出たため現在は中止されている。

診察時の会話からは、プライドの高さはほとんど感じない。他の入居者さんと変わりない感じであった。

治療

プライドが高いというのが生まれつきの性格であればそのまま経過観察であるが、生まれつきと言うよりも育った環境の面が大きい。そのほかは物忘れ中心でありアセチルコリン不足の可能性が高いと判断。

アリセプト3㎎で易怒性出現しているため、慎重にアリセプト0.5mgから開始。様子を見ながら2週間ごとに0.5mgずつ増量。

アリセプト2.5mgになったとき、リビングで他の人と楽しく談笑している姿を見た。施設職員に聞くと、「アリセプトが2.5㎎になってから協調性が出てみんなと話すようになった」とのこと。易怒性などの副作用は無し。以後アリセプト2.5mgで固定し治療継続とした。

まとめ

この症例は、本人の生活史を知ることが認知症治療に非常に重要であることを教えてくれた症例です。同時に、「本当にそうなのか」と疑う姿勢も大事であることを学びました。実は、本人の性格ではなく、アセチルコリン不足により他の人と一緒に話す気力があまりなかったのかもしれません。

この症例からもわかるように、「アセチルコリン不足」がある方にはアリセプトは非常に有効です。ただし、「アセチルコリン不足」のみがある方に限られます。この見極めを失敗すると、易怒性などの副作用が出てしまいます。

 

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