おだやか日記

在宅での感染症の診療2~肺炎や尿路感染を自宅で治すために~

おだやか診療所です。

本日は前回の続きです。

在宅での感染症の診療1~肺炎や尿路感染を自宅で治すために~

在宅での感染症の治療(内服)

感染症と診断したら、次は治療を行う必要があります。この時、「重症度」「感染している臓器」「原因となっている菌」の3つの要素から使用する抗菌薬を決定します。

ただし、病院と違い在宅では、点滴は1日1回しか行うことができないという想定のもと考える必要があります。つまり、内服可能な人であればそれほど病院と大差はないのですが、高齢者が感染症になるとだいたい嚥下機能の低下や意識レベルの低下、脱水などがありますので、点滴による治療が必要なことが結構あります。その際に、病院とは異なり1日1回の点滴で治す必要があるのです。

内服治療で使用する抗菌薬は以下の通り

・サワシリン(AMPC)

・オーグメンチン(AMPC/CVA)

・ケフレックス(CEX)

・ジスロマック(AZM)

・クラビット(LVFX)

・バクタ(ST)

・ビブラマイシン(DOXY)

・ダラシン(CLDM)

だいたいこの8種類の抗菌薬を使用しますが、主に使用する抗菌薬は3~4種類です。

肺炎(特に誤嚥性肺炎)→サワシリン+オーグメンチン 原因菌が肺炎球菌と分かった場合はサワシリンのみに変更も。

尿路感染→バクタ。感受性のある大腸菌(抗菌薬に対する耐性がほとんどないという意味)の場合はケフレックスに変更も。

蜂窩織炎→ケフレックス

胆のう炎→サワシリン+オーグメンチン

独居で訪問介護などで服薬をしている場合は、1日1回の投与を検討します。その時はジスロマック(1日1回3日間ですむ。また、ジスロマックSRであれば1回飲めば終わり)、ビブラマイシン、クラビットなどを投与します。

ダラシンは、ペニシリンアレルギーのある人の誤嚥性肺炎などに投与します。

在宅での感染症の治療(点滴)

先ほども書いたように、点滴は1日1回を想定します。そうすると在宅医療で使用できる抗菌薬は以下の3つになります。

・ロセフィン(CTRX)

・クラビット(LVFX)

・トブラシン(TOB)

第一選択はロセフィンです。肺炎、尿路感染、蜂窩織炎などに使用できます。

第二選択はトブラシンです。ただし肺への移行性はあまり良くないので、肺炎に使用する際は注意が必要です。

第三選択はクラビットです。様々な感染症に使用できます。

在宅での感染症の治療の注意点

抗菌薬の効果は、体温やCRPで判断してはいけません。肺炎であれば呼吸数の減少や呼吸苦の改善、尿路感染であれば頻尿、残尿感、排尿時痛の改善など、各臓器に特有の症状から判断します。尿路感染や肺炎の場合、治療開始から3日間は熱が続くことが多いので、あらかじめそれを伝えておくと、患者さんや家族も安心できます。

よく使用されるフロモックス、メイアクトなどは、効果はほとんど期待できません。理由は、腸管からあまり吸収されないため、感染している臓器へ移行する抗菌薬の成分が少なくなるからです。

また、フロモックスやメイアクト、さらにクラビットなどは乱用されているため、耐性菌が増えています。これは、抗菌薬を乱用することにより、その抗菌薬に対し耐性がある(抗菌薬が効かない)細菌が残り、繁殖しているからです。

最近、死亡原因の第三位が肺炎になりました(以前は脳血管障害)。肺炎を予防するためには、ワクチン接種がおすすめです。「プレベナー」を1回打ち、「ニューモバックス」を5年ごとに打つとよいでしょう。

まとめ

・感染症の診断は、「症状」「普段の様子との違い」「バイタルサインの変化」「診察所見」などから行う

・感染症の治療を行う前に原因菌を想定すること。また、培養検査を行うこと。

・想定した原因菌に対応した抗菌薬を投与すること。培養結果が出たら、適宜抗菌薬の変更も考慮する。

・抗菌薬の効果の判断は、肺炎であれば呼吸数の減少や呼吸苦の改善、尿路感染であれば頻尿、残尿感、排尿時痛の改善など、各臓器に特有の症状から判断する。

なお、認知症では一人一人に合わせた内服量を考えますが、感染症では最大量を投与します。治るまで、投与量を減らすことはありません。治ったら、抗菌薬の投与を終了します。

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