おだやか日記

在宅での感染症の診療1~肺炎や尿路感染を自宅で治すために~

おだやか診療所です。

ブログでは認知症のことを中心に書いていますが、もともとは感染症科にいました。在宅で感染症を治すことには様々な利点があります。

ます、入院せずに済むため、患者さんの医療費が入院治療よりはかからないこと。さらに、入院による環境変化でリロケーションダメージを受けることがないことです。また、病院側も病院で治療が必要な患者さんを受け入れる枠が減らないという利点があります。

本日は在宅での感染症治療について書いてみたいと思います。

はじめに

「熱がある」だけでは感染症とは限りません。脱水症、心不全、偽痛風、膠原病などでも発熱はあります。

感染症とは、特定の臓器に細菌やウイルスが侵入し、増殖することによって起こります。ただそこに細菌などがいるだけでは、保菌ではあっても感染症ではありません。細菌やウイルスなどにより、臓器が炎症を起こすと感染症となります。その炎症が全身に反映されると、体温が上昇します。膀胱炎などでは、炎症が膀胱のみにおさまるため、通常発熱することはありません。

つまり、体温が正常な感染症もあるのです。

さて、在宅医療では、その場でレントゲンなどをとることができません。採血検査も結果が出るのは通常翌日です。そのような状況で的確に感染症を診断するためには、「日頃のバイタルサイン」「日頃の本人の様子」などの情報が必要です。ここに、定期的に訪問診療を行う必要性が示されます。

感染症の症状として、「普段と様子が違う」というものがあります。そのほかに特に症状がなく、「様子が違う」ことが唯一の症状と言うこともあります。

それでは、在宅ではどのように感染症の診断を行うのでしょうか。

感染症の診断

何らかの症状があれば、ある程度の診断はできます。たとえば、咳や痰があり、酸素飽和度が普段より低い場合は気管支炎や肺炎を疑います。「頻尿」「排尿時痛」「残尿感」の3つがそろっていれば、尿路感染を疑います。

しかし、高齢者では典型的な症状を示すとは限りません。たとえば、「今日はなんだかぐったりしている」という症状だけの肺炎も十分あり得ます。これは、脱水症と見分けがつきにくいです(特に夏場は)。脱水症か肺炎か、これを判断するためには「呼吸数」を測定します。普段の呼吸数に比べ増加している場合は、脱水症だけではなく肺炎なども考えます(脱水症のみでは呼吸数は増加しません)。

尿路感染を疑う時は、CVA叩打痛を調べます。これは、背中から腎臓の位置を手でたたきます。左右どちらかで「痛みがひびく」場合は尿路感染症の可能性が高くなります。

在宅でよく見る感染症にはもう一つ、蜂窩織炎があります。これは、「発赤」「腫脹(腫れがある)」「疼痛」「熱感」の4つがそろっている場合に疑います。ただし、両足の膝より下の場合、静脈血栓などの可能性もあるため注意が必要です。

高齢者の下痢では、細菌性の下痢であることはあまり多くありません。ただし、さまざまな抗菌薬を使用しても治らない下痢の原因として、「偽膜性腸炎」があります。「偽膜性腸炎」は、原因不明の下痢として割と放置されていることがありますので注意しましょう。

培養

肺炎であれば喀痰を培養します。尿路感染では尿培養を行います。細菌性の下痢を疑うときは便培養を行います(ただし、偽膜性腸炎を疑うときはCDトキシンの迅速検査を行います)。

培養を行うことにより、原因となっている菌を見つけます。そして、その菌に効果のある抗菌薬を投与します、と言いたいところですが、培養には数日かかりますので、その間感染症の治療をしないことになってしまいます。そこで、感染症と判断したら、原因となっている可能性のある細菌すべてに効果のある抗菌薬を投与し、培養の結果を見て、原因となっている細菌に効果のある抗菌薬に変更します。

まとめ

本日は在宅での感染症の診断および治療の概略について書きました。実際の治療については次回書きたいと考えています。

在宅での感染症の診断に大切なことは、「普段のバイタルサインと比べてどうなっているのか」「普段の様子と違うのか」と言う点です。通常感染症であれば、体温の上昇とともに脈拍も増加します。ただし、体温や脈拍、血圧などは落ち着ているときであってもかなり変化します。普段最も変化しないものは「呼吸数」です。そのため、「呼吸数」が最も信頼のおけるバイタルサインとなります。

在宅での感染症の診療2~肺炎や尿路感染を自宅で治すために~

 

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