おだやか日記

認知症の診療~実例その2~

おだやか診療所です。

本日は認知症診療の実例その2について書いてみたいと思います。

 

症状

患者さんは80代の男性。特に男性に対する介護への拒否が強い。ADLは食事は半介助、そのほかは全介助に近い。短期記憶力の低下は著しい。しかししっかりと会話を行うと、特に拒否もなくスムーズに介助できる。

前医の診断、治療

診断はアルツハイマー型認知症。そのほかに狭心症などもあり。内服薬は以下の通り。

・アリセプト(5)1錠→介護者より暴言、興奮が激しいと報告がありメマリー(10)1錠へ変更

・バイアスピリン(100)1錠

・ハルナール(0.2)1錠

・タケプロンOD(15)1錠

・リピトール(5)1錠        朝食後

 

・ニトロールR(5)3錠

・マグミット(250)3錠      毎食後

当院の診断、治療

診断はアルツハイマー型認知症。ただし振戦、歯車用固縮、幻覚(小動物)などの症状もあり。このことと介護への拒否や暴言などから、アルツハイマー型認知症が進行し、レビー小体型認知症および前頭側頭葉変性症の症状が出てきたものと考える。ADLの低下も、アルツハイマー型認知症の進行と考えて矛盾はない。

まずメマリーは中止(認知症発症から数年たっており、抗認知症役の効果は望めないことから)。またメマリーはBPSDに対し有効であるという意見も多いが、逆効果になることもあり、BPSDに対するファーストチョイスにはできない。

タケプロンは認知症の進行や誤嚥性肺炎のリスクがあるため中止。ただし、バイアスピリン内服しており、心筋梗塞のリスクを考えると抗血小板薬を切ることはできないため、バイアスピリンをプラビックスへ変更。本当は抗認知症効果もあるプレタールにしたいところではあったが、心不全および頻脈があるためプラビックスとした。

リピトールは年齢を考え中止。整理後の内服は以下の通り。

・プラビックス(25)2錠

・ハルナール(0.2)1錠     朝食後

・ニトロールR(5)3錠

・マグミット(250)3錠     毎食後

 

まとめ

アルツハイマー型認知症は徐々に進行し、長谷川式スケールで10点を割るころになると、ADLもこの症例のように低下することが普通です。逆に言えば、長谷川式で10点ないが、歩行できる人は、アルツハイマー型認知症以外の可能性が非常に高いことになります(意味性認知症の人に多い。そのほかに難聴を認知症と誤診してしまうことも)。

長谷川式で10点を割るくらいまでに進行したアルツハイマー型認知症に対し、抗認知症薬は効果がなく、副作用ばかりが目立つため中止にすることが望ましいと考えます(以前は寝たきりになった時が抗認知症薬の止め時と言われていましたが、私はもう少し早く辞めてもいいと思います)。

この方は内服薬を整理することにより7剤から4剤に減らすことができました。必要な薬は残しつつ、不必要と思われる薬をやめていくことが高齢者医療では大切となります。

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