おだやか日記

認知症の診療~実例その1~

おだやか診療所です。

本日は実際にどのように認知症の診療を行い、内服薬の調整を行ったかについて、患者さんが特定されない範囲で実例を書いてみたいと思います。

 

症例 80代女性 前医診断 アルツハイマー型認知症

内服薬 アリセプト(5)1T、リピトール(5)1T、ベザトールSR(200)1T、パリエット(10)1T、ニトロダームTTS、ブロプレス(8)1T

易怒性があり、特に家族に対してはいつも怒っている。デイサービスなどでも特に昼~夕方になると易怒性が出る。

 

診察時、こちらの質問の意味が分からないことがあった。アルツハイマー型認知症と考えるとかなり進行していることになるが、その割にADLは全く問題ない。ここに違和感を感じ、家族などからも話を聞いた。その結果、物事の意味が分からなくなる「意味性認知症(前頭側頭葉変性症の一種です)」と診断。おそらく認知症発症時から意味性認知症であったと考えられる。そこにアリセプトを投与すれば易怒性が出るのは当然であり、本人の本来の性格ではないと考えた。

内服調整後 ニトロダームTTS、ブロプレス(8)1T、ウインタミン0.04g

高齢であることを考えリピトール、ベザトールなども必要ないと判断し中止(血液検査ではコレステロール、中性脂肪ともに正常内)、パリエットは誤嚥性肺炎のリスクが高くなり認知症の進行にもかかわってくるため中止。意味性認知症に対しアリセプトは火に油を注ぐ様なものであり当然中止。

アリセプト中止後かなりおだやかになったが家族の前ではまだ時々怒る(特に夜)ことがあるため、夕食後にウインタミン少量を使用。これにより易怒性はほとんどなくなり、逆に家族を気遣う発言も増えた。本来はやさしく、気の利く人なのであろう。

 

薬というものは、使い方1つで本来はやさしい人を常に怒る人に変えたりすることもある。認知症の診療には正確な症状判断(正確な診断ではありません。生前に正確に診断を行うことは難しいのです)に基づき、その人に合った薬をその人に合った量で使用することが大切です。この方の場合は薬を6種類から3種類に減らすことが出きました。昨今ポリファーマシー(多剤併用)の問題が騒がれていますが、必要にない薬を減らしていくことは非常に大切です。

 

 

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