おだやか日記

認知症になっても住み慣れた町で過ごすために

おだやか診療所です。

 

本日は、認知症になっても住み慣れた街ですごすためには何か必要か、考えてみました。

現在、残念ながら認知症を治すことはできません(正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、ビタミンB1欠乏症、甲状腺機能低下症などを除く)。抗認知症薬を使用しても、「認知症の症状の進行を遅らせることができる」が、「認知症の進行を遅らせることはできない」と言われています。

実は、認知症患者さんで問題となるのは、物忘れ(家族や介護者は、認知症発症時は物忘れを心配しますが)では無いことが多いです。興奮する、暴言、暴力、介護拒否、引きこもり、異食、徘徊などが問題となることがほとんどです。その他せん妄(せん妄は認知症ではありませんが、認知症によるせん妄はあります)、うつ傾向、食欲低下なども問題となります。

認知症の勉強会などでよく目にする上記の図でいうと、「中核症状」よりも「周辺症状」が問題となることが多いということです。

 

当院は診療所ですので、こういった問題に対し医療の面から対応していくことになります。医療の面から大切なことは、患者さん一人一人の病態や症状、家庭環境などを考慮したうえで、患者さんに合った薬を患者さんに合った量だけ内服してもらうことが重要です(薬を処方しても内服できなければ意味がありませんので、ここで訪問薬剤師の活躍が大切となります)。患者さんに合った薬を処方するためには、患者さんの病態を「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉変性症」「血管性認知症」の4タイプに大雑把に分けて考えます。この分類は、抗認知症薬を使用する際に、どの薬を選択するかの判断をするために行います。特にレビー小体型認知症の方は「薬剤過敏性」といって、薬が効きすぎることがありますので薬の量には十分注意が必要です。最近、レビー小体型認知症に対しアリセプトが保険適応となりましたが、レビー小体型認知症患者さんに対しアリセプト10mgを投与し心停止に至った例もあります。

さて、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、血管性認知症の4タイプに分ける理由は、周辺症状に対し向精神薬を使用する際に、どの薬を選ぶかを決めるためでもあります。特に前頭側頭葉変性症の周辺症状に対しては、薬の調節が非常に重要です。向精神薬を使用する際にも、常用量(普通に使用する量)の10分の1から100分の1と極少量を使用します。

医療の立場からは、患者さんの認知症のタイプを見極め、環境などに合わせて内服薬を少量使用することにより(全く使用しないこともあります)、おだやかに、本来のその人らしさを取り戻して生活を送ることができる、これが目標となります。そして介護の力を発揮できるようにします。

認知症の症状の進行を遅らせるには、デイサービスの利用が望ましいです(薬よりも効果があります)。デイサービスで周りの人と会話をする、音楽を聞く(音楽療法)、カラオケを歌う(嚥下機能保持、回想療法)、アロマセラピー、生活リハビリ(身体的なリハビリ、役割を作る、回想療法)、スキンシップ(オキシトシンが分泌されます)、(できればアニマルセラピー)などの非薬物療法と合わせて、認知症の症状の進行を少しでも遅らせることが大切です。それにより、住み慣れ場我が家、住み慣れた街での生活を継続できるようにしていきます。

また、訪問診療の短い時間でも、非薬物療法は実践できます。それは、「患者さんが昔行っていた仕事や趣味について話を聞く(回想療法)」「何気ない日常会話を行う(脳の活性化)」、「笑いをとる(笑いは演繹力を高めたり、血糖値を下げたりするといわれています。また、最近アルツハイマー型認知症は第3の糖尿病と言われています。アメリカでは点鼻薬でインシュリンを脳血管に入れる治験が行われています)」などです。

 

今後、患者さんが特定されないように注意しながら、実際に薬をどう調節したか少しずつ記載していく予定です。

 

 

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